7つの中国アニメーション映画 Seven Chinese Animated Films

2019年に公開された『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』を観て以来、中国のアニメーション映画が日本で公開されるたびに、なるべく観に行くよう努めてきました。このように自分の行動に変化を与えるくらい、『羅小黒戦記』は衝撃的におもしろかったのです。

 

2019年秋から2023年6月までにぼくの観た中国のアニメーション映画は、自分の記憶が正しければ、全部で7本です。備忘録もかねて、このへんでまとめておくことにしました。以下、一覧。

 

『映画名』

(監督名、制作会社名、中国・日本の初公開年、配給または提供)

 

(1)『羅小黒戦記』

(MTJJ監督、北京寒木春華動画技術、2019年中国・日本公開、面白映画・チームジョイ・アニプレックス)

 

(2)『白蛇:縁起』

(趙霽・黄家康監督、追光動画・ワーナーブラザーズ、2019年中国公開・2021年日本公開、面白映画・ブシロードムーブ・チームジョイ)

 

(3)『ナタ転生』

(趙霽監督、追光動画、2021年中国・日本公開、Taopiaopiao・Bona Film Group・Bilibili・チームジョイ・Netflix)

 

(4)『明るいほうへ』

(陳晨/ 趙易 / 蘭茜雅 / 兪昆 / 劉毛寧 / 李念澤 / 劉高翔監督、Benlai Pictures, 2021年中国公開、2022年日本公開、面白映画)

 

(5)『雄獅少年 ライオン少年』

(孫海鵬監督、2021年中国公開・2022年日本公開、北京精彩・泰閣映畫・面白映画・Open Culture Entertainment・ギャガ)

 

(6)『兵馬俑の城』

(林永長監督、Fantawild Animation Inc., 2021年中国公開・2022年日本公開、面白映画)

 

(7)『山海経 霊獣図鑑』

(黄健明監督、Daysview Digital Image, 2022年中国公開・2023年日本公開、面白映画)

 

以下、簡単にコメント。

(1)『羅小黒戦記』

中国のアニメーションが日本のアニメーションを技術的に追い越したことを象徴する、エポックメイキングな作品だと思います。中国のアニメーション・スタジオは、長年、日本のアニメーション制作(動画)の下請けを行なっていたので、いずれ日本は技術的に中国に抜かれると囁かれてきました。まさに本作において、「あ、抜かれた」とぼくは思いました(もちろん、これは一つの印象論です)。

 

(2)『白蛇:縁起』

白蛇伝がモチーフの作品。1000年の恋の物語。ド派手な演出で非常におもしろい。

 

(3)『ナタ転生』

封神演義がモチーフの作品。現代に転生した哪吒の物語。個人的には『羅小黒戦記』に次いで好き。CGで描かれるシースルーの服の質感がすごい。

 

(4)『明るいほうへ』

7人の監督による7つの短篇アニメーション。特に「ホタルの女の子」という作品が一番印象に残っています。あまんきみこ『車のいろは空のいろ』に感触が似ていると思いました。なお、7つの作品はいずれも絵本を題材にしているそうです。

 

(5)『雄獅少年 ライオン少年』

日本では2023年に本格的に全国公開。獅子舞に青春を賭ける少年たちの、ダンス・ダンス・アニメーションです。ストーリーは平凡なスポコンものかもしれませんが、ダンス(獅子舞)のキレと熱気がすさまじい。フォトリアルな背景に浮かないダンスのハイパーリアリティ。

 

(6)『兵馬俑の城』

単純な勧善懲悪から少しはみ出ているので、その分、作品に深みが出ている。もちろん、ストーリーに起伏も出ている。クライマックスはやはりド派手な演出で気持ちよくエンタメしてる。

 

(7)『山海経 霊獣図鑑』

山海経という中国の地誌書がモチーフ。色んな神や妖怪が出てきて魅力的なのですが、細田守の『バケモノの子』にテーマが影響を受けすぎている。ラスボスの造形は『サマーウォーズ』のラブマシーンに影響を受けすぎている。そこが残念。今回挙げた7つの中で、「残念」という感想をもった唯一の作品。

でも駄作とかそういうレベルではまったくない。