『理知のむこう――ダニイル・ハルムスの手法と詩学』表紙
『理知のむこう――ダニイル・ハルムスの手法と詩学』表紙

 

理知のむこう――ダニイル・ハルムスの手法と詩学』(未知谷)という研究書を上梓いたしました。

大変光栄なことに、沼野充義先生に跋文(あとがき)をお書きいただいています。

当サイト用に「拙著刊行に当たって」という短文を草しました。ご興味のある方はお読みください。

 

〈本書目次〉

 

まえがき

序章

(ハルムスの略歴/研究史/理知のむこう/本書の構成)

 

第1章 変貌するザーウミ――オベリウ以前のハルムスの詩学

(オベリウ宣言/ザーウミとは何か/音のザーウミから意味のザーウミへ/手法の分析/意味の地層)

 

第2章 音のザーウミへの鎮魂歌――『エリザヴェータ・バーム』の源泉

(戯曲に潜る/レノーレ譚/クルチョーヌィフ/エリザヴェータ・バーム)

 

第3章 ファウストの軌跡――オベリウ期のテキストにおけるモチーフの研究

(過渡期のテキスト/争い/対話/和解/フニュの軌跡/散文へ)

 

第4章 分散と結合――粒子としての『出来事』

(『出来事』の二つの顔/幾何学の問題/出来事と物語/不可視の関係/超-物語)

 

第5章 ハルムスは間違える――『老婆』における「妨害」としてのザーウミ

(いま、ここにあるザーウミ/小さな過ち/妨害/『老婆』における「妨害」/おわりに)

 

結論

(沼野充義)

 

<更新情報> 

第160回芥川賞受賞作の「感想文」を書きました。 (2019年2月16日)

 

 町屋良平が「1R1分34秒」で芥川賞を受賞しました!

 おもしろいので、ぜひ皆さまお読みくださいませ。ちなみに、小説の中にデニーズの出てくるシーンがありますが、あれは3年程前に私と一緒に旅行したときに入ったデニーズがモデルになっているそうです(人物のモデルは私ではありませんので、くれぐれも誤解のなきよう)。もうひとつちなみに言うと、今回の受賞作を書いたあとに、改めて一緒にデニーズに行っています。もちろん、書いたあとなので、このデニーズはモデルではありません。いわば、小説がモデルに先行しています。

小説と小説が借用した現実世界のモデルとの関係性については、↓のヴァーギノフの小説がおもしろい例を提供してくれているので、そちらもお読みくださいませ!

(2019年1月16日)

 

オベリウの作品」にヴァーギノフの長編小説『スヴィストーノフの仕事と日々』の一部抜粋を翻訳紹介しました。

(2019年1月1日)

 

 

 

このサイトでは、ロシアの作家ダニイル・ハルムス(1905~1942)に関する知の集積と開示をおこないたいと思います。

 

目的は、第一にハルムスに関する情報の共有です。天才の出現を待つよりも、専門家以外も含む集団によって知を深化させることを目指しています。

 

第二に、若手研究者の育成です。日本のロシア文学界において、ようやくハルムスはマイナー領域から脱しようとしていますが、依然として研究者の数は多くありません。ハルムス研究をより発展させるためには、研究者の育成が重要であることは言を俟たないでしょう。そこで、ハルムスを本格的に研究するために必要な情報を開示することにしました。

 

「知」というものは、多くの人との対話のなかで生まれ、育まれます。このサイトが、ハルムスをめぐる知を共有し、かつ深化させる場となることを願っています。