新年

明けましておめでとうございます。

昨年は、研究書と翻訳書を両方上梓することができましたので、大変実りある1年だったのだと思います。

「だったのだと思います」という書き方をすると、すこし他人事のようですが、正直、あまり実感が湧いていません。

 

不思議なことです。

5年程前までは、博論を書きあげることさえ、自分には叶わないと思っていました。博士号は取れず、成りゆきで中退して、仕事に就けず、お先真っ暗。

ところが実際には、博論を無事に書き終え、博士号を取得できたばかりでなく、博論の出版が決まり、そして翻訳書まで上梓するという幸運に恵まれました。信じがたいことです。

それなのに、意外なほど喜びが薄い。

 

理由は確とは分かりません。ただ、去年起きたことは基本的にすべて、それまでの勉強の結実だったことは判然りしています。ひょっとしたら、自分は収穫の喜びより、種を蒔く楽しみのほうが好きなのかもしれません。

 

もちろん、いつもうまく収穫できることは限りません。不作がつづけば、やがて種を蒔くこともやめてしまいます。そもそも、種蒔きが楽しいのは、大きな収穫を期待しているからです。去年、夢のような果実を得られたことで、今年また畑を耕すことができます。とてもありがたいことです。

 

新しく、今年を始めたいと思っています。