青いノート №10
赤毛の男がいた。彼には目と耳がなかった。髪もなかったから、赤毛と呼ぶのはとりあえずのことだ。
話すことが彼にはできなかった。というのは、口がなかったからだ。彼には鼻もなかった。
彼には手足だってなかった。お腹もなかった。背中もなかった。背骨もなかった。内臓も一つもなかった。何にもなかった! だから誰を話題にしているのやら分からない。
これ以上彼のことを話すのはもうやめた方がいいだろう。
1937年1月7日
赤毛の男がいた。彼には目と耳がなかった。髪もなかったから、赤毛と呼ぶのはとりあえずのことだ。
話すことが彼にはできなかった。というのは、口がなかったからだ。彼には鼻もなかった。
彼には手足だってなかった。お腹もなかった。背中もなかった。背骨もなかった。内臓も一つもなかった。何にもなかった! だから誰を話題にしているのやら分からない。
これ以上彼のことを話すのはもうやめた方がいいだろう。
1937年1月7日